マツ・マキ・モッコク・カヤ・イトヒバ” 伝統的な五木。
この五種を取り入れると、庭に落ち着きのある趣がでて年ふるごとに風格を増して行きます。これらの常緑樹を据えて間に雑木類を植えていくと、まとまりのある庭に仕上がると思います。また、出来たばかりの庭は少しすかすか位が丁度良く、3~5年も経つとやさしい枝が出て、その木が本来の持ち味を発揮し本当の庭らしくなると思います。 近年、株立ちになって、冬は葉を落とす雑木類を主体にした庭が多くなりました。植えて二・三年は良いですが、雑木類は成長が良いため数年後には荒れ放題、樹種ばかりたくさん入れて林や藪のようになってしまう事も多々あります。伝統的な庭木を見直してみては・・・!
楓・紅葉
”若葉でよし・紅葉でよし・裸(幹)でよし” のモミジです。紅葉が綺麗な木ですが、紅葉のよしあしはその年の気候による所が大きいので、運を天に任せるほかないかも・・・。盆栽ではよく使う手かもしれませんが、春の一番芽をかきとって土用芽(二番芽)を出させるようにすると、紅葉がより美しくなると聞いた事があるような・・・?!また、紅葉向きな品種とすると”ヤマモミジ”がお薦めです。紅葉ばかりでなく “若葉” も、とても美しい木です。接ぎ木もしやすいので、ちょっと悪戯をしてみては・・・。一本の木で二つの葉を楽しむって言うのはいかがですか?モミジの二色咲き分けも、面白いと思います。雑木類(落葉樹)は、自然な姿を楽しむ木で、手入れをしつつも自然らしく見せる事が基本です。狭い場所に植え、年中刈ったり切ったりしていると、枝がゴツゴツになり何年たっても本来の美しさを発揮できません。なるべく広い場所に植える様に心掛けた方が良いと思います。 楓・紅葉は、風がそよぐ様な柔らかさが身上です。
梅
”観てよし・食べてよし・飲んでよし” 三拍子揃った…? 梅です。
春に先駆けて紅白の花と香りを楽しみ、梅雨時の実の利用価値も高く、梅干にホクホクのご飯はたまりません。焼酎に梅干をひとつ沈めて一杯なんて、日本に生まれて良かったと思いませんか!梅酒・梅ジュース等々…梅は、日本人には欠かせません。 梅は、自家受粉(自分の花粉で実を結ぶ)しにくい木なので、一本だけでは実つきが悪いと思います。花を観賞する “花ウメ” はもちろん、”実ウメ” の品種でも一本では実つきがあまり良くありません。実をたくさん収穫したい時は、花の美しい他種をもう一本植える事です。植えるスペースがない場合には、接ぎ木という手もありますので、受粉樹を接いでみるのも良いかもしれません。ただし、ウメ系は相性があるようです。
百日紅
サルスベリは、名前から分かる様にツルツルした綺麗な幹肌をしています。また、花が少ない夏場に長く花をつけます。同じ落葉樹でも他の雑木と違って成長もゆっくりで、花のない時期にも幹を楽しめるので、庭の奥に持っていかずに家つきに植えても良いと思います。 花物の多くは花が終わった直後に剪定を行いますが、サルスベリは、その年の春から伸びた枝先に花芽をつけ夏に開花しますので、落葉期に剪定を行います。花数は少なく大きな花を見たい場合は、枝の三分の一位で切り戻し(深く切り戻す)、昨年伸びた勢いのいいものだけを2・3本残して他の枝は元から抜いてしまいます。
また、花房は小さくたくさんの花を見たい場合は、枝の三分の二から四分の三くらいを残すような軽い切り戻しにします。
その年の天候にも左右されると思いますが、梅雨が長く雨が多い年はうまく咲かないかもしれません。
夏椿
近年、新築の庭ではたいていナツツバキ・ヒメシャラが植わっています。夏にツバキに似た花が咲き、幹も赤褐色をした薄い樹皮が落ちると、滑らかで紅色を帯びた褐色になりとても美しい木です。 サルスベリ・モミジも幹は綺麗ですが、こういった幹物は家つきに植えると部屋から眺めた時に、庭に奥行や深みがでて良い雰囲気になると思います。ただし、見た目の柔らかい自然樹形に維持しなければなりませんが。
余談ですが。。。
人は勝手なもので、”忌み木と縁起の木” いろいろな縁起、逸話を勝手に作っています。サルスベリはすべるから縁起が悪い、ツバキは首から落ちる、フジはなり下がるので良くない、ビワを植えると病人が絶えない、イチジクは無果花で家が滅びる・・・。逆に、サカキは栄える木、ナンテンは難を転ずる・・・等々。その昔は、忌み木といってためらった事もあったのかもしれませんが、今では気にする人も少ない様です。都合のいい様に考えて、忌み木は迷信と片付け、縁起のいい木はそのまま残せばよいと思います。 サルスベリは庭木には最高ですし、ツバキは庭に彩りを与えてくれますし、フジの花などは見事です・・・庭に緑を増やしましょう!